花粉症の薬が保険適用外に?
最初に結論を述べておきます。
まだ「なるかもしれない」という段階です。
なる場合には「医療用以外にも市販で売られている成分のみ」にするといった話でした。
ちなみに、「花粉症の薬だけじゃなく、OTC医薬品として売られている薬と同じ有効成分の医療用医薬品」が今回保険適用外候補としてあげられているため、湿布・ビタミン剤・保湿剤等色々なものが該当しています。
今回はこの話についてまとめたいと思います。
保険適用外とは?
さて、大事なところですが、保険適用外の意味を知らない人もいるかもしれないので、まずはそこから。
皆さん、病院やクリニック、薬局に行く際には「保険証」を提示していると思います。
日本では国民皆保険といい、原則的に全ての国民が医療保険に入っていなければならず、この医療保険に入っているために1~3割のお金の負担で医療を受けたり、薬を買うことができます。
保険適用外になるというのは、この1~3割負担に該当せず患者本人が10割、要するに全ての金額を負担しなければならなくなるといった話となります。
OTC医薬品とは?
まずはOTC医薬品についてです。
OTCとは「Over The Counter」の略で、医師の処方無しにカウンター越しで買える医薬品の事です。
ドラッグストアで売っている薬をイメージして貰えれば大丈夫です。
さらに、スイッチOTCと呼ばれる医薬品があり、これは元々医療用医薬品として使われている成分で、有効性や安全性などに問題が無いとされるもので、OTC医薬品として売り出されたもののことを言います。
花粉症の薬のスイッチOTCだと、アレグラやアレジオン、エバステルなどが該当します。
花粉症じゃ無いかたも、テレビCMなどで1度は聞いたことある名前なんじゃないかと思います。
なんで保険適用外に?
ここが一番大きな話となりますが、現在の日本は若者の人口は減っている一方で平均寿命の伸びなどから高齢者の人口は増える一方です。
若者と高齢者で比べると、医療費は圧倒的に高齢者の負担が大きくなります。
ですが、国の財源は限られている為、医療費をどうにかして下げなければいけない状態になっているのです。
保険適用外になることで考えられる事
では、実際に保険適用外になるとどうなるでしょうか。
市販の薬と同じ有効成分の医薬品の総額は年間で5000億円以上にもなると言われているそうです。
じゃあその5000億円以上が全てなくなる…とは私は思いません。
例えば今回タイトルにあげた花粉症の薬、有名どころで言えばアレグラなどで、市販薬にもなっていますが、それ以外の薬も多々あり、また新しい薬もまだ開発されております。
そちらの薬はまだスイッチOTC化されていないので、そっちに流れる人も多くいると思います。
その薬はジェネリック化もされてないので高額になって市販と大差がないとなるとどちらに流れるのかといった感じにはなりますが…。
「飲み慣れたアレグラが良い!」って人が多ければ今回の提言は成功になりますし、「医師に見てもらった方がいい」という人が多ければ失敗になる可能性もあります。
まぁやらないよりはやった方が医療費は下がると思いますので、どうなるかしっかり見ていきたいと思います。
続いて怖いのが「他に重大な疾患が隠れている」場合になります。
当然ながら市販の薬の場合、ドラッグストアで購入することになりますが、ドラッグストアには医師はおりません。
薬剤師、登録販売者が対応することになりますが、私を含め薬剤師、登録販売者は「診断」というものを学んでおりません。
ある程度病気の事について学んできておりますので、重大な場合は医師への受診を勧めますが、ここは懸念材料になるのではないかと思います。
重大な疾患が隠れていたのに気付かず、それにより治療が遅れてしまっては、そこでまた無駄な医療費がかかってしまう可能性もあります。
また、第1類医薬品と言われる市販薬は薬剤師がいなければドラッグストアでも販売できないので、ドラッグストアでの薬剤師の数は増やしたり、場合によっては夜勤など体制をかえるといった対応も取らなければいけないでしょう。
ということで、保険適用外の事についてまとめてみました。
実際医療費の問題は難しく、どこを削りにいくのかが鍵になってきます。
一番妥当なのは放っておいても大抵治る風邪に対する処方を保険適応外にするだとは思いますが…。
あとは、生活習慣病の薬ついては保険適用外にしても良いと私は思っているのですが、そうなると心臓病や腎臓病、足壊疽や脳梗塞などが増えるといった問題も発生します。
まぁ今回は市販で売られている成分に白羽の矢が立ったわけですね!
まだ決まったわけではないですが、早いと来年度から改定される可能性があるので、しっかりと確認していかなければならないところですね!