病院薬剤師さささっぽのブログ

3年目の病院薬剤師! 薬剤師として未熟者です。わかりやすくをモットーに薬や医療の話をする他、風景、夜景、星空など写真を撮ったものの紹介、雑談もします。

サモアではしかによる死者が! 麻疹って危険なの?

今回は麻疹についてです。

まずはじめに用語の整理となりますが、”麻疹 = はしか”となります。

太平洋にある島国のサモアで麻疹が大流行しており、死者が60人ほど出ているみたいです。

 

 

medical.jiji.com

 

「麻疹でしょ?昔は近所で出たらうつしてもらいに行ってたよ?何がそんなに危険なの?」と思っている方、いっぱいいます!

医療関係者からもこんなことを言われることがあるのが現状なので、とても悲しい状況です。

今や情報化社会、”無知は罪”の時代となっております。

それでは、麻疹をうつしてもらうことの何が問題なのか、今回は麻疹についてまとめます!

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麻疹?昔はうつしてもらってたよ?何をそんな騒いでるの? 

まずはこの問題についてです。

昔は近所に麻疹にかかった子供がいたらうつしてもらいに行っていたみたいですね。

麻疹は一度かかると、通常は生涯にわたって免疫を獲得するので、もう一度麻疹にかかることはないとされています。

なので、周りで麻疹がでたらかかりに行くということが行われておりました。

 

ですが、これは昔の話。

今は”予防接種をして麻疹にかからない”が基本となっております。

予防接種を受けることによって、麻疹の免疫を手に入れられます。

そうすれば、わざわざ麻疹にかかる必要はないですよね。

そのため、現在は子供のうちに麻疹の定期接種が2度設けられています。

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麻疹にかかると?

それでは、麻疹にかかるとどのような症状が起こるのでしょうか?

麻疹ウイルスはまず感染後、10〜12日程度無症状の後に発症します。

咳や鼻水、喉の痛みといった風に近い症状が数日続いたのち、39度を超える発熱や全身発疹が出て、だいたい7〜10日すると回復してくるような状況となります。

発疹が黒くなってしばらく残ることがあるみたいですが、次第に消えていきます。

肺炎や中耳炎を併発することが多く、重症化すると脳炎を起こして痙攣や意識障害を起こしたり死亡することもある病気なんです!

だいたい、先進国でも麻疹患者1000人に1人は死亡すると言われております。

 

少なくとも、7〜10日辛い思いをしなきゃいけない上、死ぬリスクもある。

麻疹にかかるって結構なリスクだと思いませんか?

 

 

麻疹の感染経路

麻疹は空気感染します。

咳やくしゃみをした時に出てきたウイルスがしばらく空気中を漂い、そのウイルスを吸い込んだ場合に感染します。

 

また、感染力はかなり強く、免疫を持っていない集団の中で感染者が1人いたとすると、12〜14人うつるとされております。

冬場猛威を振るうインフルエンザですが、同じ状況にした時には1〜2人にうつるとされています。

麻疹が出ると騒ぐ理由はこの感染力にあるわけですね!

 

 

麻疹の予防接種

麻疹はワクチンが開発されているので、ワクチンを接種することで約95%の人に免疫ができると言われております。

定期接種”生後12ヶ月以上24ヶ月未満””5歳以上7歳未満で小学校入学前の1年間”の2回設けられています。

期間が2回ある理由としては、

  1. 1回目の接種で免疫を獲得できなかった人に免疫を与えるため
  2. 免疫はついたが、時間が経つにつれて免疫が弱くなった人に対して、再度免疫を与える
  3. 1回目に接種をしなかった人に対してもう一度機会を与える

といったことで、2回の期間が設けられているわけです。

2回接種することでほとんどの人で免疫を獲得することができ、死亡率の減少、地域の蔓延の減少に繋がります。

この2回の期間以外でもワクチン接種を受けることはできますが自己負担となってしまいます(>_<)

 

ちなみに、ワクチンはインフルエンザワクチンと違って卵アレルギーがある方でも安心して接種可能です。

妊婦は接種できませんが、妊娠期間中に麻疹にかかると流産・早産のリスクがあります!

麻疹ワクチン接種後は2ヶ月間の避妊が勧められているので、免疫がない方は早めの接種を!

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ワクチン推奨派と反対派の余談

ワクチンというと、ワクチン反対派があーだこーだいうことがあります。

ワクチンを打つことによる副反応も0だとは言いません。

ですが、重症なものは100万回打って1回と言われております。

ワクチンを打たないと、今回でいうと麻疹にかかり7〜10程度辛い思いをする、死ぬ可能性もある、他の人にうつす可能性もあるということが考えられます。

どちらのリスクが高いかという問題となってしまうわけです。

医療関係者として私個人はワクチンを打つことを推奨します。

「それでもリスクがあるだろ!」って言われるかもしれませんが、そんなことを言ってしまえばワクチン以外にも手術や内視鏡検査、薬など全てにリスクは存在します。

それら全てのことを否定されている人ならワクチンを否定する理由もわかりますが、ワクチンだけ否定している人ってなんかおかしくないかなと感じてしまいます。

 

ワクチン反対派の医師や薬剤師など医療関係者もいますが、そういう人の大半はお金儲けなんじゃないかなと考えてしまいます。

あくまで私の考えですが。

まぁワクチン推奨派とワクチン反対派は、理論的と感情的の喧嘩みたいなものなので、わかり合う日が来ることはないのではないかと考えてます。

男女の喧嘩の例えと同じですね。

わかり合う日が来ることを望んではおりますが…

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まぁワクチンを打たないことでその人が苦しむ分には特に何も思いませんが、その結果他の人にうつる可能性がある事だけわかってもらえれば。

反ワクチンを他人に勧める、自分の子供に強要するのは言語道断ですね。

その結果苦しむのは自分ではなく他人や子供なので。

 

 

麻疹にかかったら?

はっきり言います!

やることは対症療法しかありません!

対症療法というのは、熱が出たら解熱剤、咳が出たら咳止めといった、症状を薬が効いている間 弱めるといったことで、根本的な解決方法がないような治療です。

麻疹には抗インフルエンザ薬や抗菌薬といった治療薬がないのです!

あ、麻疹もウイルス感染症となるので、抗菌薬は麻疹自体には無意味ですよ(>_<)

ですが幸いにも、麻疹も普通の経過を辿れば治る病気です。

うつさないように、そして早く治すためにも家の中でゆっくりと休むことが勧められます!

 

まぁその前にかからないためにもワクチンが推奨されるんですけれどね(^^)

 

麻疹の重症化予防

さて、治療薬はない麻疹ですが、重症化を予防する方法はあります!

「昨日会っていた人が体調悪そうだったけど、麻疹だったみたい!免疫ないけれど大丈夫なのか…」という方!

実は、接触後72時間以内だと麻疹ワクチンを接種することで、4〜6日以内だと免疫を注射で補充することで重症化を予防することが可能だとされています。

 

 

麻疹の現状

さて、麻疹の現状ですが、1年に1度くらいのスパンで定期的にどこかで流行しているイメージです。

  

それよりも何よりも、大きめの問題が一つありまして…

 

麻疹を診断できる医者が減ってきております!!

(私が所属している病院だけの話かもしれませんが、そんなことはないと思います)

 

医師を否定する訳ではございません。

昔は頻繁に出ていたので判断がつきましたが、現在では本当に稀なんです(>_<)

麻疹は特徴的な発疹が出るのですが、「この発疹は麻疹だと思うんだけど、見たことないからなんとも…」ということが多いのです。

そんな私も麻疹の診断なんて出来ません!

まぁ薬剤師なので、そもそも診断を行ったら法律的にアウトなので行いませんが。

 

 

最後に

ということで、麻疹についてまとめてきました。

麻疹にはワクチンによる予防が重要である事がわかっていただけたのではないでしょうか?

まぁ私は医療従事者としてワクチン推奨派なので、ワクチン反対派の人の意見は全然取り入れていないまとめにはなっているかと思います。

打つことによるリスクも打たないことによるリスクも取り入れたので、OKかな…

 

昔と違って今は”かからない事が大前提”となっているので、「昔はそんなに騒いでなかったのに」なんて言ってしまうと時代遅れ認定されてしまうので、注意しましょう!